New 株式会社NTT データ東海 様

法人事業部 開発担当 課長代理 平末 篤史氏
XupperIIを標準設計ツールとして活用し
プロジェクトのノウハウ継承や標準化を推進

  NTTデータ東海では、8年前よりXupperIIを活用。自社が手がける様々なシステム開発プロジェクトの標準設計ツールとして位置付けている。その目的や、標準ツールとして組織全体に定着させるための取り組み、そして実際のプロジェクトにおけるXupperII適用事例について、同社法人事業部 開発担当 課長代理の平末篤史氏が紹介した。

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組織の方針として継続的にXupperIIを利用

 NTTデータ東海では、上流工程から下流工程に至るまで、「様々なノウハウの蓄積・再利用を促進すること」を組織の方針として掲げている。その方針に基づいた標準設計ツールとして位置付けられているのが、XupperIIだ。同社では、特に「設計情報の一元管理によるプロジェクトのノウハウ・資産の再利用」と「プロジェクトにおける成果物を標準化することでの品質向上」の2点において、XupperII の有効性を評価しているという。
 とはいえ、1 人ひとりがそれを十分に理解していなければ、標準ツールとして組織全体に定着させることは難しい。そこで、NTTデータ東海では独自の研修プログラムを作成し、XupperIIの基本知識やルールを学ぶ座学講習および演習用のリポジトリを使った研修を実施。新入社員や新規プロジェクト参加者が、実際のプロジェクトに配属される前にXupperIIに対する理解を深め、一定レベルの知識・ノウハウを習得できる環境を用意している。

プロジェクトでの適用

上流工程で顧客と開発側のギャップを埋める

 こうした体制のもと、NTTデータ東海ではXupperIIを活用し、様々なプロジェクトに取り組んでいる。その1つが、同社法人事業部の平末氏らが手がけた、販売管理システム再構築プロジェクトである。
 同プロジェクトは、旧システム(メインフレーム)の長年の修正・変更による仕様の複雑化やハードウェアの老朽化、事業環境の変化といった問題に対応するためのレガシーマイグレーション。NTTデータ東海は、2009年3月よりオープン化によるシステム改善に取り組み、Webアプリケーションフレームワークintra-mart上で稼働する新システムを構築した。この新システムは2010 年3 月、無事に本番稼働を迎えている。
 プロジェクト成功の大きなポイントとなったのは、最初の3 ヶ月間で実施された業務確認や外部設計などの上流工程だ。NTT データ東海では、システムとしての要求仕様(外部仕様)と処理要件(内部要件)を明確にすることを、上流工程で目指すべきゴールとして捉えている。「明確にする」とは、要求仕様や処理要件をドキュメント化し、その内容について顧客の合意を得ること。これは、顧客と開発側の間にあるギャップを埋めて双方の認識を合わせるプロセスであり、そのためには顧客とのコミュニケーションを密にし、認識の齟齬や問題点を1 つ1 つ解決していくことが必要となる。
 今回のプロジェクトにおいても、上流工程の3 ヶ月間で約40回もの打ち合わせを実施。こうした中で顧客の理解を得るために、XupperIIで作成した様々なドキュメントを活用した。特にビジネスフロー図は顧客にとってもわかりやすく、共通認識を深めていくうえで非常に有効だったという。

雛形リポジトリを定め、各プロジェクトの成果物を標準化

ツールの機能は適材適所で活用

 ビジネスフロー図の他にも、ビジネスルール、DFD(データフローダイアグラム)、エンティティ設計などのドキュメントをXupperII で作成(図1)。これらによって情報の関連付けを行うことで、以降の工程での情報の整理が大幅に効率化されたという。
 一方、XupperIIの機能を使わずに設計した部分もある。例えば、画面設計についてはHTMLでプロトタイピングを行い、ある程度の動作を確認できるモックを作成し、事前に顧客の操作検証を受けることで、手戻り防止を図った。そのような経緯もあり、最終的な画面設計はフレームワークとして採用しているintra-martの機能で独自に作成。設計資料については、XupperIIのプロセス階層図に紐付けて管理することとした。
 NTTデータ東海ではこのように、ドキュメントの作成手段については適材適所で必要に応じて取捨選択する方針としている。自社の標準ツールとして継続的に利用していくうえでも、すべてをXupperIIの機能で作成することにこだわるのではなく、柔軟に他の方法と組み合わせて使い分けるというスタンスが有効なのだろう。

情報の一元管理や成果物の標準化がもたらす真価

 XupperIIの代表的なメリットとして挙げられるのが、すべての設計情報をリポジトリで一元管理できること。これにより、仕様変更の影響範囲などをすばやく容易に把握できる。NTTデータ東海が特に重視しているのは、さらにその先のメリットだ。どんなプロジェクトでも課題や問題は必ず発生するが、その影響調査にかかる工数をXupperIIで省力化できれば、それだけ本来注力すべき「解決策の検討」に集中できるようになる。
 また、NTT データ東海では、これまで蓄積してきた情報やノウハウをベースに、様々なプロジェクトに適用できる「雛形リポジトリ」を作成し、各プロジェクトの成果物標準化に取り組んでいる(図2)。成果物がある程度固定されれば、品質の底上げにつながる。また、プロジェクトが変わっても作成すべき成果物が同じなら、プロジェクト間で要員の異動があっても作業者は業務ノウハウの習得に専念できるようになる。
 これらの効果は、単一のプロジェクトにおいてそれほど即効性のあるものではないが、NTT データ東海では、あくまでも「継続的に利用していく中で、情報やノウハウを蓄積し、次に活かしていくという点において有効に活用できるツール」としてXupperIIを評価しており、今後も組織として継続的に利用していく方針だという。

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